口腔医療

P-39 口腔医療(歯内治療を含む)が原因で全身疾患を生じたケースリポート

バイオレゾナンス医学会の会員から患者さんの紹介がありました。その先生からの紹介状によりますと、18ヶ月歯科診療を行い最終補綴まで行ったが患者さんの全身の症状が治らないという事で、その先生より連絡があり初診しました。

【当医院での診断】
補綴に用いたセメントに微生物が侵入している。
コアー材料に微生物が侵入している。
根管内に微生物が侵入している。
咬合径が低い。
左下第1大臼歯にホルマリン(11.17)の反応が一番大きい(その他の根管治療を行っている歯にも反応がある)と診断する。

施設写真 施設写真  

治療

左側臼歯部を除去し、仮歯を作製し、左下第1大臼歯のコアーとホルマリンを除去した結果、右側の全身症状が減少した。そして右側犬歯と臼歯部を除去し仮歯を作製し、咬合高径を左右同時に第1大臼歯部を3.0mm.高くしました。その結果全身症状が80%減少した。
1.左下第1大臼歯 初診時X線写真

根管長測定を行う 
作業長.MB16.5mm.ML15.5mm.D14.5mm.で診断♯15番X線写真
根管形成.MB.ML.♯50番.D♯60番 で完成したX線写真
根管形成中に根管内よりホルマリン(11.17)トリポネーマ(38.24)

トリコモナス(38.1)カンジダ(10.65)がゼロサーチ及びレオメーターにより存在が想定されましたので、過酸化尿素10%と次亜塩素酸ソーダー10%で除去し超音波スケーラーにより洗浄を行い、無水アルコールにより根管内及び象牙細管の表層を乾燥しガッタパーチャだけで加圧根充を行い、ノンメタルのコアをハイブリッドポーセレン(フィラーが93%以上のもの)+ファイバーポスト+グラスアイオノマーセメント(レジンの入っていない)でsetした。

2.下顎の歯内治療している歯を左下第1大臼歯と同様に歯内治療をする。

A.右下第2大臼歯
 1.初診時.X線写真
 2.作業長.MB12.0mm.ML13.5mm.D13.5mm.♯15番X線写真
 3.根管形成完成時.♯50番X線写真
 4.根管充填時.X線写真

B.右下第1大臼歯
 1.初診時.X線写真
 2.作業長.MB13.5mm.ML14.5mm.D14.5mm.♯15番X線写真
 3.根管形成完成時.MB.ML.♯45番.D♯50番X線写真
 4.根管充填時.X線写真

C.右下第2小臼歯
 1.初診時.X線写真
 2.作業長.13.5mm.♯15番X線写真
 3.根管形成完成時.♯50番X線写真
 4.根管充填時.X線写真

D.右下犬歯
 1.初診時.X線写真
 2.作業長.13.0mm.♯15番X線写真
 3.根管形成完成時.♯70番X線写真
 4.根管充填時.X線写真

E.左下第2小臼歯
 1.初診時.X線写真
 2.作業長.14.5mm.♯35番X線写真
 3.根管形成完成時、♯80番X線写真
 4.根管充填時.X線写真

F.下顎中切歯
 1.初診時.X線写真
 2.作業長.右下中切歯12.7mm.左下中切歯13.0mm.♯15番X線写真
 3.根管形成完成時.♯50番X線写真
 4.根管充填時.X線写真

この様に下顎の歯内治療を行った歯よりホルマリン(11.17)トリポネーマ(38.24)トリコモナス(38.1)カンジダ(10.65)の存在がゼロサーチ及びレオメーターにより反応が無くなり、そして全身症状が完治し生活も健康状態も普通にもどりました。X線写真や歯科用CTでは診断できない微生物、歯科用薬品を根管内及び象牙細管内での存在を侵襲しないで、想定する事が可能となります。又これらの微生物、歯科用薬品による全身疾患の原因を想定し、歯内治療を行う事により患者の健康に寄与するのも歯科医師の役割と考えます。

2009年 JEA 日本歯内療法学会 パネル発表
杉本  叡